景気先行指数とは?
景気先行指数とは、景気動向の方向性を示唆することをみれる「景気総合指数」のうちの、先行して現れる経済指標のことを言います。
この数値は景気の方向性や転換点などを判断するうえで重視されるものです。
発表は民間非営利のシンクタンクであるコンファレンスボード(全米産業審議会)からされます。発表時期は原則として翌月の15営業日です。
この景気先行指数は10項目からなり、「製造業の週平均労働時間(時間)」「週平均失業保険申請件数(千件)」「消費財新規受注(10億ドル)」「入荷遅延比率(%)」「非国防資本財受注」「新規建設許可(指数)」「普通株500種株価(指数)」「マネーサプライ(M2)(10億ドル)」「長短金利スプレッド」「消費者期待度指数(指数)」がそれにあたり、これらの各項目にウェイトをかけて算出をします。
マネーサプライのウェイトが最も高く、その次に高い週平均労働時間と合わせると50%以上になります。また、非国防資本財受注の項目のウェイトは最も低くなります。
この数値は内閣府が発表する景気動向指数の一部のため、生産や雇用などの様々な経済活動の動きや、重要で景気に敏感に反応するような指標の動きを総合した経済指標のひとつです。
この景気先行指数に加えて、景気動向と呼応して動く「景気一致指数」や、景気動向から遅れて動くと予想される「景気遅行指数」と合わせて、景気総合指数として構成される要素になります。この景気総合指数を構成される3つの指数の内、ここで紹介する「景気先行指数」が一番注目度が高いとされています。
これは米国夏時間で日本時間の午後11時、冬時間で日本時間午前0時に発表がされます。
FXにおける景気先行指数の影響度・チャートの値動き
この景気先行指数は、ほかの景気総合指数に比べて先行性があります。一般的に景気の山に対して平均約9か月、谷に対しては平均約4か月の先行性があるとして見られています。
この先行指数が3か月連続して前月比マイナス(もしくはプラス)を記録した場合、景気が転換するとされていますが、こうした手法による予想の的中率は高いとは言えません。
しかし、予想が比較的簡単だということと、予想外の結果にはなりにくいという特徴があるため、大雑把な方向性を把握するときに有用とされます。
またこの景気先行指数は、上昇傾向であると景気回復や拡大が示唆されるということになり、米ドルの上昇や安定資産である債券価格の下落の要因となりますが、反対に指数が下落傾向にある場合は景気の減速がよそうされることにより、米ドルの下落や債券価格の上昇要因に繋がるとされます。
まとめ
アメリカ経済を読み解くにあたっての経済指標はいくつかありますが、それぞれ指標に関連性はあるものの業務別や内容別に発表がされてしまうため、網羅性に欠けるのが現状です。
ですが、この景気先行指数は、それらの細かい業種や内容を横断して収集や分析をして合成する景気総合指数のなかでも先行して動く経済指標を算出した指数なので、先行性だけでなくアメリカ経済の動向を網羅したものとして参考とされます。
また、景気動向のピーク・ボトムの転換点を見極めるための基準となる指数でもあるため、比較的注目度が高くなります。
ですが、この景気先行指数を構成する各種の経済指標は、すでに発表された経済指標であるため、予想外の結果にはなりにくいということ、そしてそれによって注目度が抜きんでてあるわけではないということ、なによりも政策決定には重要な影響を及ばさない経済指標であることも挙げられます。
しかし、アメリカ経済の動向を予測する手がかりとしては有用な経済指標ではあるので、ほかの経済指標の内容を補完する扱いとして注視するといい指標であるといえるでしょう。