住宅着工件数とは?
住宅着工件数とは、国内で着工された新設住宅の件数のことを表します。
これは一般的には戸建てや集合住宅などの建築様式別や、地域別に公表されます。この件数と前月比の増減によって変動する住宅着工件数の数値は、住宅投資の際の状況判断に使われます。
この住宅投資が活発化されることにより、それに伴って家電製品や家具の買い替えの需要に繋がるため、景気の影響が大きいとされます。またこのことから景気動向の先行指標として注目がされます。
この件数は、アメリカでは「新築住宅販売件数」「中古住宅販売件数」に先立って、毎月第3週に前月の数値が商務省から発表されます。日本では国土交通省の「建築動態統計調査」の中で発表がされます。
「建築動態統計調査」では工事別、建築工法、新設住宅の資金、住宅の種類、利用関係、住宅の戸数・床面積の合計などがそれぞれ公表されますが、そのなかでも「新設住宅着工件数」の数字が景気動向を見るうえでは注目されます。
住宅建設は季節ごとにばらつきが出てしまう恐れが大きいため、調整をかけたうえで年率換算して発表になり、一戸建てと、集合住宅に分けて発表されます。
このなかに公共住宅は含めません。またこの中でも一戸建ての住宅が全体の約8割を占めるという特徴があります。ちなみにアメリカの場合、北東部、中西部、西部、南部の地区ごとに集計がされます。
この住宅着工件数に似たもので、「住宅建設許可件数」という指標もあります。これは建設にあたっての許可申請が必要な地域における許可発行件数を調査したもので、実際の着工に先駆けて許可申請が実施されます。そのためこの住宅着工件数の先行指標として扱われます。
アメリカの住宅着工件数の発表は、米国夏時間で日本時間午後9時、冬時間で日本時間午後10時半に発表されます。
FXにおける住宅着工件数の影響度・チャートの値動き
住宅の売れ行きは、その国の国民の購買意欲の表れとして読み取れるため、景気の先行きを読むひとつの指標として目安にされます。そしてその指標の一つがこの住宅着工件数です。
この指標の数値の大幅な増減によって、建設や建材などの関連企業、住宅購入に伴う家具類や家電、自動車の消費にも影響が出るため、GDPの上下にも影響が出ます。
また、それだけでなく、雇用市場の動向、消費者の景気への信頼感などとの相関も見ることができます。個人消費への波及が大きい点から、景気のバロメーターの1つとして注目がされる指標です。
この住宅着工件数はアメリカの場合、ドル高やドル売りにも繋がります。予想以上に着工件数が多かった場合は期待感からドル高に、反対に着工件数が少なければ不安感からドル売りにつながる傾向を持っています。
こうしたドルの売買にあたって、関連するアメリカの住宅市場の経済指標として「新築住宅販売件数」や「中古住宅販売件数」なども注目されます。
この住宅着工件数は天候や季節にも影響を受けますが、他にも大きく影響を与えるとして「金利」が関係してきます。
この金利が絡む一般的なサイクルは、金融緩和による利下げが行われると着工件数が増加、それによって好景気になる。そうなると金融の引き締めとして利上げが行われるため着工件数が減少、不景気になり、そしてまた金融緩和で利下げが行われる、というように一巡していきます。
そのため、住宅販売件数が増加傾向にあるときは好景気、減少傾向にあるときは不景気と捉えることもできます。
まとめ
このように住宅販売件数は、景気やGDP、ドルの売買につながる経済指標です。
その数値は新規で建設開始、つまり着工された住宅の件数から算出され、他にも「新築住宅販売件数」「中古住宅販売件数」が同時に注目される指標となっています。
これは天候や金利の影響も受けるため、多方面に注意しながら参考にするといい経済指標だといえるでしょう。